HOME >処遇改善加算について

介護職員処遇改善加算について

|平成30年11月編集|

介護職員処遇改善加算は、介護職員の諸問題(低賃金、高離職率)を解決するための賃金改善の措置です。

※介護職員処遇改善加算は、以下「処遇改善加算」とします。

一定の要件を満たした介護サービス事業者・介護保険施設が都道府県等へ届出を行うと、賃金改善に使用できる処遇改善加算を受けることができます。

事業者等は、この処遇改善加算を介護職員へ分配して(昇給や賞与等で支給)、賃金改善を行います。

おさえておきたいポイント

●受けた加算は全て介護職員に分配して使い切る

処遇改善加算は、全て介護職員に分配(昇給や賞与として支給)して使い切ります。

また、加算分には1円でも事業所負担分をプラスして分配する必要があります。

●介護職を行わない職員には分配できない

対象者(分配できる職員)は、介護職員です。

介護職を行っていれば、パートタイマーも対象者です。

介護職を行わない事務職員などは対象外です。

●区分ごとにクリアすべき要件がある

処遇改善加算には、加算Ⅰ~Ⅴの5つの区分があります。

各区分ごとにクリアすべき算定要件があり、加算額(率)が異なります。

●計画書の届出と実績報告が必要

年度単位(4月~翌3月)で介護職員の賃金改善の計画をたてることが必要です。

年度開始前に処遇改善計画書を届出て、年度終了後には実績を報告します。

5つの区分|加算Ⅰ~Ⅴ

区分毎の加算相当額と算定要件

処遇改善加算には、加算Ⅰ~Ⅴの5つの区分があります。

区分毎に設定された算定要件を満たすことが加算を受ける条件です。

※算定要件には、キャリアパス要件(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)職場環境等要件があります。

加算Ⅰの場合、介護職員1人当たり月額37,000円相当の加算を受けることができますが、算定要件を全て満たす必要があります。

処遇改善加算の見込額

処遇改善加算を受けるには、年度単位で処遇改善計画書の作成・届出が必要です。

次の計算式により処遇改善加算の見込額を算出し、賃金改善に関する計画をたてます。

処遇改善加算の見込額 = 介護報酬総単位数(見込数) × サービス別加算率 × 1単位の単価
サービス別加算率は、サービス区分によって異なります
↓↓↓
サービス区分 サービス別加算率
加算Ⅰ 加算Ⅱ 加算Ⅲ 加算Ⅳ 加算Ⅴ
・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
13.7% 10.0% 5.5% 加算Ⅲにより算出した単位
×
0.9
加算Ⅲにより算出した単位
×
0.8
・(介護予防)訪問入浴介護 5.8% 4.2% 2.3%
・通所介護
・地域密着型通所介護
5.9% 4.3% 2.3%
・(介護予防)通所リハビリテーション 4.7% 3.4% 1.9%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
8.2% 6.0% 3.3%
・(介護予防)認知症対応型通所介護 10.4% 7.6% 4.2%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・複合型サービス
10.2% 7.4% 4.1%
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護 11.1% 8.1% 4.5%
・介護福祉施設サービス
・地域密着型介護老人福祉施設
・(介護予防)短期入所生活介護
8.3% 6.0% 3.3%
・介護保健施設サービス
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)
3.9% 2.9% 1.6%
・介護療養施設サービス
・(介護予防)短期入所療養介護
・(病院等(老健以外))
2.6% 1.9% 1.0%
・介護医療院サービス
・(介護予防)短期入所療養介護(医療院)
2.6% 1.9% 1.0%

算定要件 『キャリアパス要件』『職場環境等要件』

処遇改善加算の算定要件には、『キャリアパス要件』と『職場環境等要件』があります。

要件を満たすため実施した措置については、全ての介護職員への周知が必要です。

キャリアパス要件

キャリアパス要件は3種類あり、最大の加算(加算Ⅰ)を受けるには3種類全てを満たすことが必要です。

キャリアパスⅢは、昇給の仕組みを作る(昇給基準を定める)ことが条件です。

キャリアパスⅠ 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
就業規則(賃金規程)等による書面の整備が必要。
キャリアパスⅡ 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
キャリアパスⅢ 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
就業規則(賃金規程)等による書面の整備が必要。

職場環境等要件

研修等の受講支援、ミーティング、介護機器導入など、主に職場の環境改善に関する取組みです。

※以下表のうち、いずれか1つを実施していることが求められます。

資質の向上
  • 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援(研修受講時の他の介護職員の負担を軽減するための代替職員確保を含む)
  • 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
  • 小規模事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
  • キャリアパス要件に該当する事項(キャリアパス要件を満たしていない介護事業者に限る)
  • その他
職場環境
処遇の改善
  • 新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者)制度等導入
  • 雇用管理改善のための管理者の労働・安全衛生法規、休暇・休職制度に係る研修受講等による雇用管理改善対策の充実
  • ICT活用(ケア内容や申し送り事項の共有(事業所内に加えタブレット端末を活用し訪問先でアクセスを可能にすること等を含む)による介護職員の事務負担軽減、個々の利用者へのサービス履歴・訪問介護員の出勤情報管理によるサービス提供責任者のシフト管理に係る事務負担軽減、利用者情報蓄積による利用者個々の特性に応じたサービス提供等)による業務省力化
  • 介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフト等の介護機器等導入
  • 子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備
  • ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
  • 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化
  • 健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、職員休憩室・分煙スペース等の整備
  • その他
その他
  • 介護サービス情報公表制度の活用による経営・人材育成理念の見える化
  • 中途採用者(他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等)に特化した人事制度の確立(勤務シフトの配慮、短時間正規職員制度の導入等)
  • 障害を有する者でも働きやすい職場環境構築や勤務シフト配慮
  • 地域の児童・生徒や住民との交流による地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上
  • 非正規職員から正規職員への転換
  • 職員の増員による業務負担の軽減
  • その他

処遇改善加算に関するご相談

当事務所では、処遇改善加算に関するサポートを行っています。

●処遇改善加算計画書の作成

●キャリアパス要件を満たす就業規則の作成 etc.

メール又はお電話にてお気軽にご相談ください。

TEL 045-350-3540

受付時間9:00~18:00(土日祝除く)

社会保険労務士篠原事務所

横浜市磯子区磯子2-19-11-111

●対応地域●

【神奈川県】全域
 ※主要地域:横浜市磯子区、中区、金沢区、港南区、南区

【東京都】23区、多摩地区